
Ryu’s Voice #193

代表取締役社長 村野隆一
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、2026年も年明け早々からアメリカを中心に目まぐるしい展開を見せている世界情勢。
世界中のあちらこちらで何だか“きな臭い”動きが進んでおり、予断を許さない状況が続いておりますが、そのような不安定な状況のなか日本では高市総理が突然の衆議院解散宣言。2024年10月以来、1年ちょっとしか経っていないにも関わらず、急遽また衆議院総選挙が行われることとなりました。
今回の選挙における最大の争点は、やはり消費税減税に関する是非の問題。各党の主張もそれぞれ分かれておりますが、業界的な立場から見ますと、この議論は単なる家計支援策や景気刺激策にとどまらず、外食産業の収益構造、さらにはサプライチェーン全体の持続性をどのように設計していくかを問う重要なテーマであると感じております。
まずは期間限定や時限的な消費税減税を掲げる主張ですが、こちらはポジティブに捉えれば、消費者心理が一時的に前向きになることで外食の利用頻度が増えたり、もう一品注文しようという動きが生まれやすくなるなど、もしかしたら即効性のある需要喚起効果の可能性もあるかと思われます。ただ一方では、期限が明確であるがゆえに、飲食店様としては恒常的な値下げやメニュー改定に踏み切りづらく、私たち流通側としましても中長期を見据えた仕入れ計画や在庫設計が難しくなるという課題もあります。需要が一時的に増減する中では、欠品と過剰在庫の両リスクが高まり、物流や現場オペレーションへの負荷も増すため、短期的な追い風をいかに無理なく取り込むかが問われるような気がします。
次に食料品を中心とした軽減税率の拡充やゼロ税率を主張する考え方ですが、こちらは内食・中食やテイクアウト等が相対的に有利になることで外食の優先順位が下がる可能性も否定できず、結果として来店動機が弱まる懸念が大いにあります。またお店側は食材仕入に係る消費税の仕入税額控除が消滅する一方、店内飲食売上には従来どおり10%の消費税が課されるため、納税額が増加し原価率やキャッシュフローが悪化する実質的な増税となる可能性も高く、外食サイドとしてはネガティブ要素が非常に強いように思われます。
そしてもう一つ、消費税減税に慎重で財政規律を重視する主張もあります。こちらについては短期的な景気刺激という点ではインパクトに欠けるものの、税制が安定することで、飲食店様も卸売り業者も腰を据えて価格設計や設備投資、人材育成に取り組みやすくなるなどの現実的なメリットもあるのではないでしょうか。
2025年の外国人訪日観光客数はついに4200万人超え。今や日本の外食産業は外貨を稼ぐためのキラーコンテンツであり、世界に誇れる日本の文化です。
いずれの政策が選択されるにしても、「単なる票取り」のためのパフォーマンスで我が国の外食業界に大きな不公平が生まれたりしないよう、勢いだけではなくその後の建付け調整も含めしっかりと議論をして頂きたいところであります。



