
Ryu’s Voice #181

代表取締役社長 村野隆一
素は格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。
さて、穏やかな年明けからあっという間に1カ月が過ぎ、早いもので2025年もすでに2月へ突入。世界的に何かしらの大きな動きがあるのではと予想されていた米トランプ大統領の就任式以降も、とりあえず今のところ無難に進んでいるといった感じで、日本においては相変わらず某タレントと某テレビ局の話題がメディアを賑わしているという、言ってみれば比較的平和な状態が続いております。
そのような中、お隣中国では1月末に “春節”を迎え、今年も恒例の大型連休による人民大移動が始まりました。
調べによると前後を含めた40日間に近隣など国内外に移動するであろう人数が今年は過去最高になるとのことで、その数は日本国全人口の約75倍にあたる90億人にものぼると言われております。
希望渡航先としてはやはり日本が一番だそうで、コロナ前に比べると依然として少ないまでも、日中両国における段階的なビザの緩和によりその数は着実に増えており、政治的には様々ありながらも、隣国にとって観光国としての日本は相変わらず人気なようです。
ただこのところ自国での不動産不況などを中心とした経済の低迷が続いている影響もあってか、中国人観光客の日本における消費動向は以前と少し変わってきているとのことで、最近では円安にもかかわらず「爆買い」と称されたような勢いある消費はあまり見られなくなり、どちらかというと体験を重視する「コト消費」にシフトしてきているそうです。
なかでもやはり日本のグルメは不動の人気で、旅行の目的ランキング圧倒的第一位は変わらない状況のようですね。
一方受け入れる日本側はというと、宿泊施設の建設数は増えているものの、引き続く人員不足により稼働率がなかなか上がらないなど、コロナ明けの外国人観光客の急激な増加にまだまだ対応しきれていないというのが現状であります。
また私たち外食関連業界においても当然似たような課題感は尽きず、先日のニュースによると、人員確保の問題はもとより建築費や賃料、また人件費の高騰などにより吉野家HDやトリドールHD(丸亀製麺)といった大手外食チェーンが相次いで出店計画を見直しているとのこと(両社共に当初計画の約半分に削減)。
昨今では日本各地でいわゆる「オーバーツーリズム」と言われるものなども問題になっておりますが、今後は政府としてもただ単純に「外貨を稼ぐために観光立国を目指す」と宣言しあとは民間任せというのではなく、実際に受け入れる側としての体制構築のために、やはりもう一段国を挙げての支援策というものが必要な時期にきているのではないでしょうか。
訪日観光客の方々に「何だか思ってたのと違うな」と思われ、いつしか“魅力のない国”になってしまわないよう、官民がしっかりと力を合わせ真の観光立国を作り上げていきたいところであります。